建築物を知ろう
- 栃木 章
- 2020年2月16日
- 読了時間: 3分
ここでは、建築設備を施工するもととなる「建築物」について記述します。
建築物とは、土地に定着し屋根を柱か壁で支持している工作物をいいます。

建築物の定義
建築基準法では、建築物を「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するものであり、建築設備を含む」ものと定義しています。
ただし、この条件を満たさなくても例外的に建築物と認められるものがあります。
たとえば敷地に建築物がある場合の門・塀は、屋根をもたないが「付属建築物」として解釈されます。一方、同じ門・塀でも、敷地に建築物がなく、塀が敷地を囲うだけのものであれば建築物に該当しません。
野球スタンドやサッカースタジアムなども屋根がなくても建築物として定義され、避難規定が適用されます。
ただし、建築物の要件を満たす施設でも、他の法令で安全が確保されている鉄道などは建築物から除外されます。
工作物の定義
工作物とは、建築物以外の広義の建築物に適用されます。
工作物には原則、建築基準法は適用されません。ただし工作物であっても、高さや種類などによっては、確認申請が必要になり、構造の安全性や用途地域規制などの法の規定が一部適用されます。このように基準法が適用される工作物を「準用工作物」といいます。
準用工作物には、煙突、広告塔、高架水槽、擁壁、昇降機、飛行塔等があります。
特殊建築物
用途の特殊性から、防火・避難規定などで一般の建築物より厳しく制限される建築物を「特殊建築物」といいます。
たとえば、劇場、病院、学校、百貨店などの不特定多数の人が集まる施設や、ホテルや共同住宅などの宿泊、倉庫などの火災に対し危険度の高い施設などがあります。
これらの建築物では、災害時に混乱が予想されます。規模や階数により防災上等の構造基準に対して厳しい制限が設けられています。
また、畜場、火葬場、汚物処理場など、周囲に与える公害やその他の影響が大きいため、事前に都市計画で建築する位置の決定をしなければならない特殊建築物もあります。
違反建築物
「違反建築物」とは、手続きや避難、構造規定等、参照すべき建築基準法の規定に適合しないままつくられた建築物をいいます。
違反建築物に対しては、特定行政庁が是正命令をだすことがきます。違反建築物に対する措置の命令には3種類あります。
1つは、「法9条1項にもとづく是正命令」です。
建築主や請負人等に対し特定行政庁が通知書を交付し意見書の提出などの一定の手続きをのあとに工事の施工停止を命じます。相手の猶予期限を付け当該建築物の除却、使用禁止などの措置をとることができます。
2つめは、「法9条7項にもとづく命令」です。
緊急を要する場合などにだされ一時的な使用禁止や制限をすることができます。
命令を受けた者は、公開による意見の聴取を請求できます。この場合、特定行政庁は、聴取の結果を受けて改めて法9条1項命令をおこなうか使用禁止などの命令を取り消さないとならない。
3つめは、「法9条10項にもとづく命令」です。
建築基準法令またはその許可についた条件に違反することが明確な工事中の建築物に対して行われます。
命令がだされて是正がおこなわれない、若しくは不十分な場合は、特定行政庁は、是正義務を負う建築主等に代わって違反建築物の実質的な是正を行うことができます。
これを行政代執行といいます。
違反者に対しては、免許の取り消しなどを含む行政処分か、懲役・罰金などの行政刑罰が課せられます。
既存不適格建築物
建築当時は適法だったが、法改正や都市計画法上の地域・地区の変更などで現行法規に適合しなくなった建築物を「既存不適格建築物」といいます。
法律は遡って適用されないため、違反建築物とはみなされません。
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